消えればいいんだ
ああ、そうか
抵抗しずに、ジタバタせずに、消えてゆけばいいんだ
海の底に、どんどん、どんどん、沈んで
深く、深く沈んで、消えていく
私はいない
私は消えた
この「私」があなたと結びつこうとしていた
「私」が消えれば、あなたも消える
そうだ、消えればいいんだ
私が消えれば、世界も消える
なんでこんな簡単なことに気がつかなかったんだろう
すべてを忘れなさい(アシュターヴァクラ・ギーター)
一人ひとりの人について抱いているイメージなど、一つ残らず自分の心から解き放って一掃してしまいましょう。」(テキスト 第三十章 一 救いのシンプルさ)
「16 すべてを忘れなさい
1
わが子よ、
あなたは好きなだけ聖典を読みあさり
討論することに忙しいかもしれない
だが、あなたがすべてを忘れ去るまでは
けっしてハートで生きることはないだろう
2
あなたは賢く
遊び、仕事をし、瞑想する
それでも、あなたの心はいまだに
すべてを超え
すべての欲望が消え去る彼方を望んでいる
3
努力こそが悲しみの根本原因なのだ
だが、誰がこれを理解するというのだろう?
この教えを理解して
祝福を受けるとき
はじめてあなたは自由を見いだすだろう
4
師より不精な人がいるだろうか?
瞬きひとつにさえ苦労する!
それでも、ただ彼だけが幸せな人なのだ
ただ彼だけが!
5
これを見て
あれを無視する……
だが、心が
ひとつのことを別のことに対立させる習慣をやめると
それはもはや快楽を渇望せず
富や、修行や、解脱のことなど
もはや気にしなくなる
6
感覚的快楽への渇望から
執着が生まれる
それらに価値がないと見なせば
あなたは無執着を学ぶ
だが、何も望まず
そして何も拒絶しなければ
執着も無執着もあなたを縛りつけはしない
7
識別なしに生きるとき
欲望が生まれる
欲望がつきまとえば
好き嫌いといった
選り好みの感覚も生まれる
それらは世界の根であり枝なのだ
8
活動から欲望が
放棄から嫌悪が生まれる
ところが、賢者は子供なのだ
彼はけっして
ひとつのことを別のことに対立させたりしない
それは本当だ!
彼は子供なのだ
9
もしあなたが世界を望めば
悲しみを避けるために
世界を放棄しなければならないだろう
その代わりに欲望を放棄しなさい!
そうすれば、あなたは悲しみからも自由になり
世界があなたをかき乱すこともないだろう
10
もしあなたが自由を望みながら
まだ「私のもの」と言いつづけ
自分を身体だと感じつづけるなら
あなたは賢者でも探求者でもない
あなたはただの苦しむ人間だ
11
ハリ、蓮から生まれたブラフマー
あるいはシヴァから学ぶがいい!
あなたがすべてを忘れ去るまでは
けっしてハートで生きることはないのだ」(「アシュターバクラ・ギーター 真我の輝き」ナチュラルスピリット 110ページ~114ページ)